確かに大きさは判断基準の一つではありますが、価値基準ではありません。〇・五カラットのダイヤの指輪より1カラットのダイヤの指輪のほうが高価なのは確かでしょうが、デザインや石の輝きや艶、装着感などから〇・五カラットのリングのほうが自分に合っていることがあるのです。さらにデザインは万人にとって“無難”なものなので、手を出しやすい反面、個人の嗜好にぴったりくることもない品物といえるでしょう。だから、手元に商品が届いて身につけてみるとがっかりしてしまうのです。考えてもみてください。通販業者はテレビの電波を使って同じデザイン、同じ価格の商品を大量に売ることを目的にしています。一度に百や二百は売らないと採算が取れないでしょう。百個以上の同じデザイン、同じ価格の商品を作る。このこと自体が宝石本来の価値に逆行しているのです。地殻の中から掘り出されたダイヤの原石は人間の顔がみな違うように、同じものは一つとしてありません。一カラットのダイヤを百個並べれば色がそれぞれ異なることは当然のことで、宝石に不慣れな人でも分かります。厳密に言えばデザインは同じであっても、同じ品質の宝石を大量に作ることはできないのです。それを敢えて同じ価格、同じデザイン、同じ品質だと謳って販売することは詐欺的行為と言っても過言ではありません。統一規格で製造された工業製品ならAでもBでも取り替えは可能ですが、宝石はそうはいきません。AのリングのダイヤとBのリングのダイヤは微妙に違うもので、代替品にはなりません。通販業者は宝石の価値を無視して、あたかも工業製品のように商品を売り捌いているのです。