我が国と異なる環境としては、アメリカでは弁護士の数が非常に多く、現在では95万人以上いると言われており、我が国の1万5千人に比べて桁違いに多い。これだけ多くの弁護士が毎日仕事を求め、裁判を積極的に引き受けることを期待している。さらに個々の弁護士は成功報酬で訴訟を引き受けることが可能となっている。裁判に負けると弁護士費用は一切支払われなくても済むが、賠償金が取れた場合には、弁護士はその約30%を報酬として受け取るという制度である。この制度は我が国では適応されていないが、アメリカでは極めて一般的であり、お金のない被害者が気楽に裁判を受けることができる。またさらに、日本では被害者全員が集まって原告団を結成して裁判を起こさねばならないが、アメリカでは被害者全員が集まらなくても、その中の一人が代表と称して訴訟を起こすことができる。これはクラス・アクション(Classaction、集団訴訟と言えないことはないが、日本での集団訴訟とは異なる)と呼ばれ、我が国にはない制度である。また、正式事実審理に先立ち、その準備のため、訴訟当事者間の事件に関する情報や証拠の収集を広範囲に認める開示手続き(Discovery)制度、ディープポケット(DeepPocket)と言う呼び名で表現される資金力のある関連会社に賠償させる考え方などもある。さらにまた日本の司法制度と大きく異なる点としては、加害者の行為に重大な過失や悪意があると認められた場合には、通常の損害賠償金に加えて、懲罰的損害賠償金が課せられる制度がある。これは加害者を経済的に苦しめて、二度と同じ過ちを繰り返さないようにする一種の制裁金である。メーカーに痛みを感じさせるには、メーカーごとの資金規模に応じて制裁金の額の算定が行われる。したがって時には極めて巨額の賠償金をメーカーは支払わされる。
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