赤信号のときはクルマがこなくても渡ろうとしない。妙に正義感を発揮してケンカを仲裁したり、社会のタテマエの部分をけっこう信じていたりする。ところが、中学生くらいになると、社会の現実もわかってくるし、親の価値観にも反発するようになってくる。今まで「偽りの自己」でやってきたことを、どうもちがうぞ、どこかヘンだぞ、と思いはじめるのである。そこで、「本当の自己」を出してみたい、「本当の自己」を出しても大丈夫かどうか試してみたい、という時期がくる。それまで家の中でしか出せなかった「本当の自己」を、社会に出してみたくなる。おそるおそる「大人はわかってないのだよな」といってみる。「そうそう、オレもそう思っていたんだ」と賛同してくれる仲間がいれば、やっぱりそうなのだ、という手応えをつかめる。そうやって、少しずつ、自分が持つべき価値観を、手さぐりで捜し当て、「自分」を作っていくのである。